遺産分割の話し合いが上手くまとまらない場合
相続人間で遺産分割について話し合ってはみたけれど、それぞれの意見が食い違って上手くまとまらない…。
かといって、積極的に争いたいわけでもないので弁護士さんに依頼するほどでもない…。
誰か中立の立場の人に間に入ってもらえれば、話し合いでまとまるのではないか…。
とお考えの方は多くいらっしゃるかと思います。
このような場合に利用できる制度についてご紹介します。
(1)家庭裁判所の遺産分割調停
裁判所に行くほど揉めてない!と思う方も多いかと思いますが、調停は裁判とは異なり、話し合いによる解決の場ですので、それほど身構える必要はありません。
調停では、調停委員(弁護士や司法書士などの民間人)が話し合いの指揮をとり、当事者それぞれの意見を聴き、解決案を提示してくれたり助言をしてくれたりしながら、話し合いが進められていきます。調停はあくまでも合意でのみ成立しますので、それぞれが譲れること、譲れないことを出し合い、妥協点を見つけていくようなイメージとなります。
話し合いの結果、当事者全員が合意に至った場合は調停が成立ということになり、調停調書というものが作られます。この調停調書により、その内容に基づいた相続手続きができるようになります。
残念ながら合意に至らなかった場合は、調停手続きはそこでいったん終了し、そのまま審判という手続きに自動的に移行します。審判手続きにおいては、調停とは異なり、裁判官が一切の事情を考慮して審判を下すことになります。
遺産分割調停の申立て方法
遺産分割調停は、家庭裁判所に調停申立書を提出して申し立てます。調停申立書は家庭裁判所に用意されていますし、家庭裁判所のホームページよりダウンロードすることも可能です。
申立書の記載等で分からないことがあれば家庭裁判所で相談もできますし、自分で書類を集めたり申立書を用意する自信がないという場合には、当事務所で調停申立書類の作成を承っておりますので、是非ご活用ください。
申立先
相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所に申し立てます。
申立てに必要な費用
被相続人1人につき収入印紙1200円分
連絡用の郵便切手(家庭裁判所により金額が若干異なりますので、各家庭裁判所に確認します。)
申立てに必要な書類
- 申立書1通と相手方の人数分のコピー
- 申立添付書類(他にも必要となる場合があります。)
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票又は戸籍附票
- 遺産に関する証明資料(不動産登記事項証明書及び固定資産評価証明書、預貯金通帳のコピー又は残高証明書、有価証券コピー等)
- その他、相続人の関係によって、必要となる戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
例1) 被相続人の子で死亡している方がいる場合
その子の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
例2) 相続人が兄弟姉妹の場合
被相続人の両親の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
(2)弁護士会や司法書士会の用意するADR
話し合いの場とはいえ、やっぱり裁判所での手続きには抵抗がある…という場合は、弁護士会や司法書士会の用意するADRの利用をお勧めします。
ADRとは、裁判外紛争解決手続きとも呼ばれ、第三者が中立的な立場で当事者間に介入して紛争を解決する方法をいいます。
各地の弁護士会や司法書士会では、調停センターや紛争解決センターなどの名称でADR機関を設けております。法律の専門家が中立的な第三者として関与しながら、それぞれの事情を聴き、法的な問題にとどまらない柔軟な解決を目指して話し合いが進められます。
詳しい申立ての方法などは、各地の弁護士会や司法書士会によって異なりますので、弁護士会や司法書士会のホームページや電話等でご確認ください。